木管楽器修理・金管楽器修理のミルズ。国内で希少な管楽器修理の専門工房です。

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2014

25

1月.

〇〇タイプ

こんにちは。
今日は久しぶりのマニアックなお話です。

もう去年のことですが改造してほしいというご依頼で
珍しいホルンをお預かりしました。
その楽器がこちら。

アトリエハーロウ製の
シュミットタイプのフルダブルホルンです!
F/B♭の切り替えがピストン式の
珍しいタイプのフルダブルホルンです。

フルダブルホルンと言えば
ホルトンやコーンなどで知られるクルスペタイプと
E.シュミットやハンスホイヤー801
アレキサンダー503などで知られる
クノップタイプ(ガイヤータイプ・K巻きとも言う)の
大きく分けて二つのタイプが有名ですね。

クルスペタイプ(写真はYAMAHAのYHR-668D)

ガイヤータイプ(写真はYAMAHAのYHR-567D)

その他、学生時代にお世話になった人も多いであろう
学校備品の帝王ヤマハYHR-664や
アレキサンダー103やパックスマンなど
独特の巻き方をしているものもありますが
そのほとんどのフルダブルホルンは
F/B♭の切り替えがロータリーなのです。

F/B♭の切り替えがピストンのフルダブルホルンを
見たことがない方も多いのではないでしょうか?

なぜ「シュミットタイプ」と呼ばれるのかというと
クルスペタイプやクノップタイプと同様に
最初に考案したのがシュミットさんだったからなのです。

・・・えっと先に言っておきますが
この記事、長くなりそうです。

「シュミット」「ホルン」と言うと
現存するホルン工房のエンゲルベルト・シュミットを
思い出す方も多いかと思いますが
偶然同じ名前なだけで別物の工房なのです。

シュミットタイプを考案した工房のシュミットは
1880年創業、1930年頃に工房を閉鎖したそうです。
一方、エンゲルベルト・シュミットは
それから約50年後の1980年に創業し今に至ります。

ドイツでは「シュミットさん」という名前の人が多いんですね。

余談ですが、じゃあ多いってどれくらい?と思って調べてみました。
なんと、「ミュラーさん」についで2番目に多いそうです!!
日本で言うところの「鈴木さん」です。
たぶんドイツの人も
「そうそう、クラスに一人はシュミットっていたよなー」
なんて会話をしているのでしょうか。

話がそれましたが・・・

一般的にはフルダブルホルンが世に出たのは
1897年にクルスペが開発したのが
世界で初めてと言われていますが
一説によるとそれよりもやや早い1890年代半ばに
シュミットタイプは開発されていたらしいです。

そして、これもさだかではありませんが
シュミット工房が閉鎖した後も
数々のメーカーがコピーモデルを製作していて
1970年頃まではわりとよく見かけられていたそうです。

実はYAMAHAも生産台数は少ないようですが
1980年代にコピーモデルを作っていました。
YHR-863というモデルです。

しかし、近年ではF/B♭の切り替えがピストンだと
ストロークが大きいので操作性が悪いなどの理由で
好んで使う人は少なくなり
廃れていってしまったようです。

えー、だいぶ長くなりましたが
もう少しお付き合い下さい。

そして、このシュミットタイプを製作したアトリエハーロウは
1990年代に都内にあった
ハンドメイドホルン工房として有名で
このシュミットタイプの他にも
ナチュラルホルン、ウインナホルンなどの珍しい楽器も
ハンドメイドで作っていたそうです。

時々このアトリエハーロウ製の楽器を見かけることもありますが
個人的な感想ですがヤマハや海外メーカーにも全く劣らない品質で
国内でハンドメイドで作っていたとは思えないものばかりです。

そんな素晴らしい技術を持っていた工房なのですが
数年前に諸事情により工房を閉鎖されたそうです。
色んな意味で残念です。。。

えっと、だいぶ長くなってしまったので
この辺で一旦区切りたいと思います。
なんだか「一説によると・・・」とか「~らしい」とか
そんな言葉ばっかりの記事になってしまいましたが
なにせ、リアルタイムで見たり聞いたりしたわけではないので
どうかお許しを。。。

今回、この記事を書くにあたり
参考にさせていただいたサイトを以下にご紹介します。

www31.ocn.ne.jp/~frenchhornsquare/schmidtgallery1.html

http://www14.plala.or.jp/simistu99/web-content/Studys/Sutdy%20on%20Horn.html

どんな改造をしたかは次回のブログで!

以上、一説によると今日はブログ書いてばかりであまり仕事をしていない
金管担当中嶋でした☆

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