木管楽器修理・金管楽器修理のミルズ。国内で希少な管楽器修理の専門工房です。

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2014

20

6月.

〇〇タイプその2

またまただーいぶ間があいてしまいましたが
前回のブログの続きです。

今回はどのような改造をしたのかをご紹介します。

さっそくですが楽器のビフォアー&アフターがこちらです!

Before

After

・・・えーと・・・どこが??と思ったそこのアナタ!
今回はそれがポイントなんです。

見た目には何も変わってはいませんが
実はこれ、Open FからOpen B♭に変わっています!

お客様からこの楽器をOpen B♭にしたいとご依頼をいただいた当初
クルスペタイプやクノップタイプのような親指レバーを取り付けて
レバーを作動させるとピストンが作動する
(レバーを押すとピストンを持ち上げる。
普通にピストンを押すのと逆の動きになるように。)
みたいなことを考えてみたのですが
スペース的に難しいかもしれないことと
できれば見た目はあまり変えないでほしい
とのお客様のご意向だったこともあり
その案はあえなく却下。

見た目は変えないでとなると
もうピストンを作り直すしかないのでは・・・
と思っていたその時、お客様から有力情報が!!

「ピストンを逆にするとできるって聴いたことあるんですが・・・」

ということでピストンを上下逆にして
息の入口と出口を入れ替えてみると
・・・あれ、できるかも!!
ということで既存のピストンを改造する方向で
ご依頼をお受けすることにしました。

ということでこちらがピストンのビフォアー&アフターです。

Before

Afterその1

Afterその2

まず、Beforeの写真からもお分かりのように
一番上の穴からピストンの上端の長さと
一番下の穴からピストンの下端の長さが違ったので
これでは逆さまにしても穴の位置が縦方向にずれてしまうので
ピストンの下側を数ミリカットしました。

毎度のことながら、文章にするとだいぶ簡単そうですが
実際はわりと大変でした。

それから、ピストンの軸部分(上の棒状の部分)は半田付けだったので
半田をはずして反対側へ半田付け。
さらにピストンバネがあたる部分は新たに作製して
ピストン上部の軸をはずしたところに半田付け。
バルブガイドは今まで付いていたものは削ってしまい
反対側へ新たに作ったものを半田付け。

ここまでやったものがAfterその1の写真です。
そして、上下反対にしたものがAfterその2の写真です。

BeforeとAfterその2は両方ともバルブガイドが
こちらを向くように写真を撮りましたので
どちらも左上の縦に二つ並んでいる穴が
マウスパイプから息が入ってくる穴になりますが
ピストンを押した時とはなした時で
息の流れる方向が変わっていますね。
(Beforeの写真では左上の縦に並んだ穴のうち
押した時に息が流れてくる上の穴から右側に息が流れますが
Afterその2の写真でははなした時に息が流れてくる
下の穴から右側に息が流れるようになっています)

これはあくまで想像ではありますが
ある程度同じ作りのパーツでも
生産の段階で上下を逆転させれば
Open B♭/Open Fを切り替えられる構造にしておいて
Open B♭の特注にも対応していたのかもしれません。

同じシュミットタイプのダブルホルンでも
違うメーカーのものだと
このような改造はもしかしたら
できないかもしれません。

ミルズではこのような改造のご相談も
受け付けておりますので
まずはご相談ください。

以上、金管担当中嶋でした☆

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