またまただーいぶ間があいてしまいましたが
前回のブログの続きです。
今回はどのような改造をしたのかをご紹介します。
さっそくですが楽器のビフォアー&アフターがこちらです!
Before
After
・・・えーと・・・どこが??と思ったそこのアナタ!
今回はそれがポイントなんです。
見た目には何も変わってはいませんが
実はこれ、Open FからOpen B♭に変わっています!
お客様からこの楽器をOpen B♭にしたいとご依頼をいただいた当初
クルスペタイプやクノップタイプのような親指レバーを取り付けて
レバーを作動させるとピストンが作動する
(レバーを押すとピストンを持ち上げる。
普通にピストンを押すのと逆の動きになるように。)
みたいなことを考えてみたのですが
スペース的に難しいかもしれないことと
できれば見た目はあまり変えないでほしい
とのお客様のご意向だったこともあり
その案はあえなく却下。
見た目は変えないでとなると
もうピストンを作り直すしかないのでは・・・
と思っていたその時、お客様から有力情報が!!
「ピストンを逆にするとできるって聴いたことあるんですが・・・」
ということでピストンを上下逆にして
息の入口と出口を入れ替えてみると
・・・あれ、できるかも!!
ということで既存のピストンを改造する方向で
ご依頼をお受けすることにしました。
ということでこちらがピストンのビフォアー&アフターです。
Before
Afterその1
Afterその2
まず、Beforeの写真からもお分かりのように
一番上の穴からピストンの上端の長さと
一番下の穴からピストンの下端の長さが違ったので
これでは逆さまにしても穴の位置が縦方向にずれてしまうので
ピストンの下側を数ミリカットしました。
毎度のことながら、文章にするとだいぶ簡単そうですが
実際はわりと大変でした。
それから、ピストンの軸部分(上の棒状の部分)は半田付けだったので
半田をはずして反対側へ半田付け。
さらにピストンバネがあたる部分は新たに作製して
ピストン上部の軸をはずしたところに半田付け。
バルブガイドは今まで付いていたものは削ってしまい
反対側へ新たに作ったものを半田付け。
ここまでやったものがAfterその1の写真です。
そして、上下反対にしたものがAfterその2の写真です。
BeforeとAfterその2は両方ともバルブガイドが
こちらを向くように写真を撮りましたので
どちらも左上の縦に二つ並んでいる穴が
マウスパイプから息が入ってくる穴になりますが
ピストンを押した時とはなした時で
息の流れる方向が変わっていますね。
(Beforeの写真では左上の縦に並んだ穴のうち
押した時に息が流れてくる上の穴から右側に息が流れますが
Afterその2の写真でははなした時に息が流れてくる
下の穴から右側に息が流れるようになっています)
これはあくまで想像ではありますが
ある程度同じ作りのパーツでも
生産の段階で上下を逆転させれば
Open B♭/Open Fを切り替えられる構造にしておいて
Open B♭の特注にも対応していたのかもしれません。
同じシュミットタイプのダブルホルンでも
違うメーカーのものだと
このような改造はもしかしたら
できないかもしれません。
ミルズではこのような改造のご相談も
受け付けておりますので
まずはご相談ください。
以上、金管担当中嶋でした☆
こんにちは。
今日は久しぶりのマニアックなお話です。
もう去年のことですが改造してほしいというご依頼で
珍しいホルンをお預かりしました。
その楽器がこちら。
アトリエハーロウ製の
シュミットタイプのフルダブルホルンです!
F/B♭の切り替えがピストン式の
珍しいタイプのフルダブルホルンです。
フルダブルホルンと言えば
ホルトンやコーンなどで知られるクルスペタイプと
E.シュミットやハンスホイヤー801
アレキサンダー503などで知られる
クノップタイプ(ガイヤータイプ・K巻きとも言う)の
大きく分けて二つのタイプが有名ですね。
クルスペタイプ(写真はYAMAHAのYHR-668D)
ガイヤータイプ(写真はYAMAHAのYHR-567D)
その他、学生時代にお世話になった人も多いであろう
学校備品の帝王ヤマハYHR-664や
アレキサンダー103やパックスマンなど
独特の巻き方をしているものもありますが
そのほとんどのフルダブルホルンは
F/B♭の切り替えがロータリーなのです。
F/B♭の切り替えがピストンのフルダブルホルンを
見たことがない方も多いのではないでしょうか?
なぜ「シュミットタイプ」と呼ばれるのかというと
クルスペタイプやクノップタイプと同様に
最初に考案したのがシュミットさんだったからなのです。
・・・えっと先に言っておきますが
この記事、長くなりそうです。
「シュミット」「ホルン」と言うと
現存するホルン工房のエンゲルベルト・シュミットを
思い出す方も多いかと思いますが
偶然同じ名前なだけで別物の工房なのです。
シュミットタイプを考案した工房のシュミットは
1880年創業、1930年頃に工房を閉鎖したそうです。
一方、エンゲルベルト・シュミットは
それから約50年後の1980年に創業し今に至ります。
ドイツでは「シュミットさん」という名前の人が多いんですね。
余談ですが、じゃあ多いってどれくらい?と思って調べてみました。
なんと、「ミュラーさん」についで2番目に多いそうです!!
日本で言うところの「鈴木さん」です。
たぶんドイツの人も
「そうそう、クラスに一人はシュミットっていたよなー」
なんて会話をしているのでしょうか。
話がそれましたが・・・
一般的にはフルダブルホルンが世に出たのは
1897年にクルスペが開発したのが
世界で初めてと言われていますが
一説によるとそれよりもやや早い1890年代半ばに
シュミットタイプは開発されていたらしいです。
そして、これもさだかではありませんが
シュミット工房が閉鎖した後も
数々のメーカーがコピーモデルを製作していて
1970年頃まではわりとよく見かけられていたそうです。
実はYAMAHAも生産台数は少ないようですが
1980年代にコピーモデルを作っていました。
YHR-863というモデルです。
しかし、近年ではF/B♭の切り替えがピストンだと
ストロークが大きいので操作性が悪いなどの理由で
好んで使う人は少なくなり
廃れていってしまったようです。
えー、だいぶ長くなりましたが
もう少しお付き合い下さい。
そして、このシュミットタイプを製作したアトリエハーロウは
1990年代に都内にあった
ハンドメイドホルン工房として有名で
このシュミットタイプの他にも
ナチュラルホルン、ウインナホルンなどの珍しい楽器も
ハンドメイドで作っていたそうです。
時々このアトリエハーロウ製の楽器を見かけることもありますが
個人的な感想ですがヤマハや海外メーカーにも全く劣らない品質で
国内でハンドメイドで作っていたとは思えないものばかりです。
そんな素晴らしい技術を持っていた工房なのですが
数年前に諸事情により工房を閉鎖されたそうです。
色んな意味で残念です。。。
えっと、だいぶ長くなってしまったので
この辺で一旦区切りたいと思います。
なんだか「一説によると・・・」とか「~らしい」とか
そんな言葉ばっかりの記事になってしまいましたが
なにせ、リアルタイムで見たり聞いたりしたわけではないので
どうかお許しを。。。
今回、この記事を書くにあたり
参考にさせていただいたサイトを以下にご紹介します。
www31.ocn.ne.jp/~frenchhornsquare/schmidtgallery1.html
http://www14.plala.or.jp/simistu99/web-content/Studys/Sutdy%20on%20Horn.html
どんな改造をしたかは次回のブログで!
以上、一説によると今日はブログ書いてばかりであまり仕事をしていない
金管担当中嶋でした☆
朝晩の涼しさに夏の終わりと
秋の訪れを感じる今日この頃。
もうすっかり忘れ去られているかもしれませんが
前回書いたオーバーホールの続きを書きます。
↓前回までのあらすじ
https://mirs.jp/wp/?p=807
前回の記事のようにラッカーを剥がしたあとは
凹直し・キズとりの作業になります。
楽器の状態にもよりますが
今回は凹は少なかったものの、腐食部が多かったため
このように管体をできるだけ分解して作業をしました。
ちなみに残ったケーシング部分はこんな感じです。
恐らくこんな状態のホルンはなかなか見られないと思います。
ここまで分解するだけしておいて
組み立てられなくなったらシャレにならないので
どの管がどこにつながっていたか
ちゃんと書き留めておきました。
僕の絵心が3しかないことがバレてしまいますね。
キズとりの方法は以前に紹介した
ホルンのベルガード作製の時と同じように
ヤスリをかけて、ヤスリの目を細かくしていき
最終的にバフでキレイにするというものです。
↓ベルガード作製の記事
https://mirs.jp/wp/?p=624
ビフォアー・・・
・・・アフター!!
このように管体全体をキレイにして
その後、組み立てます。
(↑文字にすると2行で終わってしまいますがなかなか大変なんです。。。)
組みあがった写真がこちら。
そしてこれをラッカー塗装して
調整・組み立てして、完成です!!
前回のブログに紹介させていただいた
修理前の写真と比べるとだいぶキレイになっているのが
お分かりいただけると思います。
細かいところではありますが
左手小指の指かけもだいぶ腐食をしていたので
キズとりをしてメッキをかけなおしました。
このようなオーバーホールの修理は
各種金管楽器の他、サックスやフルートなどの木管楽器でも
ご依頼いただけます。
また、クラリネットやオーボエ、ピッコロなど管体が木製の楽器でも
管体以外の部分(キイ・ポストなど)のオーバーホールをすることもできます。
まずはご相談下さい。
以上、最近歳のせいか、くびれがなくなったと言われた
金管担当中嶋でした☆
そろそろ暖かくなってきたなぁと思ったら
もうすっかり春もすぎてしまった感じがする今日この頃。
お久しぶりの中嶋です。
今日は最近ごぶさた気味のマジメなブログ更新です。
先日、ホルンのオーバーホールをやらせていただきまして
その一部始終をご紹介したいと思います。
今回お預かりした楽器は
こちらのシュミットのセミトリプルホルンです。
セミトリプルホルンとはこのように
抜差管が3段になっており、一見トリプルホルンのように見えますが
一番下の段を息が通るとHigh F管になり
一番上の段を息が通るとB♭管になり
そして一番上の段とまんなかの段を息が通るとLow F管になる
という構造になっています。
つまり、セミダブルホルンにHigh F管を付け足したような構造です。
一般的なフルダブルホルンに比べると複雑です。
シュミットのフルトリプルホルンは以前に1、2度見たことがありますが
セミトリプルホルンは初めてお目にかかりました。
非常に珍しい楽器です。
今回はこのように楽器の表面のラッカーが剥がれたり
ラッカーが剥がれた部分から管体が腐食したりしているのが
気になるとのことでオーバーホールのご依頼をいただきました。
かなり古い楽器であるようでしたが
依頼主の方によるとおよそ25年前に作られた楽器だそうです。
なんと僕と同級生です!!
これも何かの縁でしょうか。
オーバーホールの大まかな手順は
まず、既存のラッカーを剥がし
全ての管の凹みを直し
凹みの修正跡や腐食した部分を
ヤスリやバフでキレイにして
再度ラッカー塗装をかけて
最後に調整・組み立てをします。
これで技術的に可能な限り
楽器を新品に近づけます。
ということで、まずラッカーを剥がしたのがこちらの写真。
ノーラッカー仕上げの楽器と同じ状態です。
以降の工程はまた次回にご紹介したいと思います。
お楽しみに!
以上、春先に手袋を片方紛失してしまい
なんだか片方残っているだけに諦めるに諦め切れなかった
金管担当中嶋でした☆
だいぶ明けてしまいまして・・・
気がつけばもう今年第1回目の給料日ですが・・・
おめでとうございます!!!
今年もMIRSブログをよろしくおねがいします。
もうお気づきの方もいらっしゃるでしょうが
昨年末にMIRSホームページがリニューアルオープンしましたので
そちらも併せてよろしくおねがいします。
(MIRSホームページ:https://mirs.jp/)
さて、昨年最終営業日のこと。
例年どおり大掃除をしていると万力の近くの棚の奥のほうから
こんな曲がった金属の板が出てきました。
実はこれ、僕がフレンチホルンのここのあて金〔あてがね〕を途中まで作って
手が滑ってどっかいっちゃって、なくしたものでした。
せっかくいいとこまで作ったのになくなっちゃったので
けっこう必死に探したのにその時は見つからず・・・
なかなかショックでした(笑)
結局その時はまた最初から作り直しました。。。
え、どうやって作るのかって??
いい質問ですねぇ!
私、なかじま改め、なか上彰がわかりやすく(?)
作りかけを完成させながら解説しましょう。
まず、使う材料ですが厚さ0.3~0.5ミリの
真鍮か洋白の板材を使うのが一般的です。
その板材をちょうどいい大きさに切って形を整えたら
なるべく加工したい形に近いアール・太さの芯金に当てて
木製ハンマーや金属製ハンマーで叩きます。
こんな感じです。
ここでワンポイントアドバイス。
板材を一度バーナーでやや赤くなるまであぶると
板材のコシがなくなり、加工しやすくなります。
だから棚の奥から出てきた作りかけはまっ黒だったのです。
別にMIRSの棚が汚かったわけではありません。
こうして形を作ったあと、
バーナーであぶったりハンマーで叩いた跡をキレイにします。
今回、脇の部分は金属のハンマーで叩いたので
けっこうハンマーの跡がわかりやすく残っています。
表面を全体的にヤスリがけをしていきます。
今回はヤスリの油目から少しづつ目を細かくしていきました。
そしてサンドペーパーの#1000くらいまでかけると
こんな感じになります。
ここまできたらもうこっちのもの!!
あとはバフ研磨機で磨けば完成です。
MIRSのデジカメがSONY製だとバレてしまうくらいキレイになりました!!
このようにMIRSでは楽器に合わせてパーツの作製もできますので
まずはご相談ください。
以上、うちの会社にも伊達直人が来る日を待っている
金管担当中嶋でした☆
久々のミルズネタです☆
先日、とある中学校で管打楽器メンテナンス講習会をやりました!
その様子をお届けしようと思います。
☆打楽器☆
打楽器修理担当者による講習会でした!
実際に触りながら学んでいきます☆
☆金管楽器☆
金管楽器修理担当者による講習会。
トランペット、トロンボーン、ユーフォニアム、ホルンを1台ずつ説明した様子。
生徒さん達の表情も真剣そのもの!
☆木管楽器☆
今回、実は私が担当させて頂きました!
普段使っている楽器を持ってきてもらって、ケースから楽器を取り出すところからスタート!
基本的な楽器の扱い方からお手入れの仕方、特に注意して欲しいことなどをお話しました。
すごい素直な生徒さん達で疑問に思ったことはその場で質問を沢山してくれました!
普段からわからないこと、困っていることを少しでも解決できたかな?
積極的に講習会に参加してもらえて、私も気合が入りましたし嬉しかった!
これを機に楽器を大切に扱ってもらえるといいなと思いました☆
みなさんもメンテナンス等しっかりして、楽器は大切に扱ってくださいね☆
という私は高校生の時、オイルを一度も注したことのない学生でした(–;
↑ダメダメです。
この講習会で勉強させてもらう事が多かった、千茨城県民しおでした♪
ちまちまブログ第2弾です。
さらに時間をさかのぼり
2月中旬頃、トロンボーン奏者の
宮下宣子さんにご来社いただきました。
今回は、いわゆる「古楽器」と言われる
100年以上も昔に作られた楽器の修理をご依頼いただきました。
やはりそれだけ昔に作られただけあって
現在ではなかなか見慣れないものもありました。
記念に修理を担当した社員と一緒に
写真を撮らせていただきました。
この楽器、どんな音がするんだろうと思ったそこのアナタ!!
宮下さんもメンバーのひとりである
「東京ヒストリカルブラス」という金管アンサンブルをご存知でしょうか?
実は宮下さんも所属されている東京ヒストリカルブラスは
金管楽器の歴史的なレパートリーを発掘し
作曲当時の楽器を使ってその響きを現代に蘇らせることを目的に
結成された金管アンサンブルです。
メンバーのみなさんは、モダンと古楽両方の世界で活躍している
ベテランの方ばかりで
曲の編成に合わせて様々な楽器に持ち替えていらっしゃるそうです。
実は僕も以前、演奏会にお邪魔したことがありますが
金管楽器の歴史や進化の過程などを説明していただきながら
年代を追うごとに音程がよくなったり、音色が均一になっていく様子がわかり
非常にユニークな演奏会でした。
東京ヒストリカルブラスの演奏会で
もしかしたら今回修理した楽器の音が聴けるかもしれません。
ぜひ一度足を運んでみてください。
以上、金管担当中嶋でした☆
東京ヒストリカルブラスホームページ
http://www.historicalbrass.jp/index.html
今年も早いものであと1ヶ月となりましたね。
みなさん、今年やり残したことはありませんか?
“今年のヨゴレ、今年のうち~に♪”
なんていう歌のCMがあった気がしますが
(何のCMなのかはサッパリ覚えてませんが・・・)
当社では楽器の掃除、洗浄などのご依頼も
お受けしていますので、まずはご相談ください。
さて、先日非常に珍しい楽器をお預かりしました。
「オフィクレイド」という名前の楽器です!
反対側はこんな感じ。
音程を変える原理は見てのとおり木管楽器と同じようなキイなのですが
音を出す原理は金管楽器と同じリップリードなので
楽器の分類は金管楽器になります。
マウスピースを入れる部分(クルーク)が
このようにとりはずし可能になっていて
U字部分が抜き差しできるようになっていて
ここでチューニングをします。
本当に珍しい楽器でそういう楽器があったのは知っていましたが
実物は静岡県浜松市にある楽器博物館で見たことがある程度でした。
まさかこんなところでお目にかかれるとは思ってもいませんでした。
ちなみに今回手を加えた部分は・・・
・キイ延長
キイの裏に真鍮の板をロー付して
簡易的ではありますがキイを延長しました。
これによりキイが操作しやすくなりました。
・クルークジョイント部締めネジ取り付け
サックスのネック締めネジのように
クルークを固定できるようなネジを取り付けました。
これにより演奏中にクルークが動かないようになりました。
また、息もれも改善されました。
・クルーク当て金
クルークに腐食による穴があいていましたので
真鍮の板を切ったり曲げたりしたものを半田付けして
穴をふさぎました。
見栄えが悪くなってしまうのですが
息もれを改善して、音の鳴りを向上させることができました。
このように珍しい楽器や古い楽器に
手を加えて演奏しやすくすることもできます。(※)
また珍しい楽器をお預かりしたら
紹介したいと思います。
以上、いつも今年のヨゴレを今年のうちにおとせていない
金管担当中嶋でした☆
※楽器の種類や状態により、対応できない場合もあります。
まずはご相談ください。
お初です。
金管担当、紀本です。よろしくお願いします。
先日小学校の備品楽器の点検をさせていただいたのですが、
なかなかひどい状態の物が多く見受けられました。
大物楽器のチューバなどもボコボコに凹んでいるものが数多くありました。
例えばこんな感じです。
写真では解りづらいかもしれませんが、この楽器でU字管の半分くらいは
凹んでいるでしょうか。
なぜこんなにまで凹んでしまうのでしょう?
倒してしまうからでしょうかね。
その根拠として、ベルが歪んでいて倒れやすくなっているというのがあると思います。
この楽器のベルもこのとおり
ベルを歪ませてしまったら早急に修理していただきたいのですが、
使っている楽器をすぐさま修理に出すわけにもいかないこともあると思います。
というわけで、こんな風に置いてみてはいかがでしょ。
壁などにU字管を寄せて置くと、何もしないで置きっぱなしよりも格段に倒れにくくなるはずです。
もちろんベルが歪んでいないチューバも普段からこんな感じで置いていただけると
大掛かりな修理になる事も少なくなるはずです。
学校備品とはいえ、楽器を倒してしまったショックたるや相当なものでしょうから、
そうならないためにも、是非。
8月も終わり、朝晩の涼しさに
秋が近づいていることを感じる今日この頃、
夏の終わりは何歳になっても
なんがか切ない気分になるもんですね。
よい子のみんな、夏休みの宿題は全部終わったかな?
世の先生方には”やってあるけど家に忘れました”っていう
バレバレの言い訳を1週間だけ我慢して聞いてあげるよう
お願いしたいと思います。
さて、管楽器の壊れ方(症状)は一本いっぽんそれぞれ違うので
修理のしかたもケースバイケースなのですが
中には似たような症状のものもあります。
今回はロータリー付きのトロンボーンに
よく見られる症例についてご紹介します。
まずこちらがトロンボーンの本体側の修理前の写真です。
スライドを差し込む部分(スライドレシーバー)が
やや曲がっているのがお分かりでしょうか?
このスライドレシーバーはトロンボーンの構造上
力が加わりやすい場所なので
スライド、ベル、主管抜差管など、
関係なさそうな場所でも強くぶつけたりすると
曲がってしまう可能性もあります。
そしてスライドレシーバーが曲がると
ロータリー部を圧迫してロータリーの動きに悪影響をおよぼします。
曲がり方がひどいときにはロータリーが全く動かなくなることもあります。
このような場合には・・・
・スライドレシーバー曲がり修正
・ロータリー調整
という修理が必要になります。
こちらが修理後の写真です。
ちゃんとまっすぐになっていますね!
(ちょっと写真がわかりづらくてすいません・・・)
今回はテナーバストロンボーンの写真でのご紹介でしたが
インライン、オフセット問わずバストロンボーンでも
同様の症状が見られることがあります。
ロータリーの動きが悪い原因は他にも様々なパターンがありますので
ロータリーの動きが悪いなぁと感じたら、ぜひ当社までご相談ください。
以上、小学生の頃に夏休みにほぼ毎日やっていた
ラジオ体操第二をいっこも思い出せない
金管担当中嶋でした☆
チューバ吹きの皆さん、アナタは右手派ですか?左手派ですか?
今日はロータリーチューバ、主にC管やF管についている第5ロータリーのレバーについてのお話です。
このレバー、機種によって右手親指で操作するタイプと、左手で操作するタイプがあります。
アメリカでは右手派、ドイツでは左手派が多いなんて話も耳にします。
日本人のアナタはどちら派ですか??
同じモデルで右手用・左手用とメーカーが二種類製造していれば、新品で買う場合であれば選べて問題ありませんが、各メーカー必ずしもそうではありませんし、中古で買う場合など妥協せざるを得ないかもしれません。また、使っていくうちに気が変わるかもしれません。
写真は左手用から右手用に改造した例です。
改造前
改造後
改造後
右手派のメリットは、あいた左手で演奏中に第1抜差管などを音程補正の為に抜き差し出来たり、低音の振動でかゆくなった鼻の頭をかいたり出来るところでしょうか。
ミルズでは修理の他に、このような改造・仕様変更も行っておりますので、まずはご相談下さい!
以上、金管担当 大塚でした。
こんにちは!
梅雨入りしましたね。今年も突然の豪雨に注意みたいです!?
さて。タイトルの「○○洗浄中」なんだと思いますか?
とある晴れた日、吹奏検品(実際に吹いて楽器の状態をみること)をしていたらある先輩に呼び止められました。
「これ、ブログに載せてみたら?」
ということで載せてみました!
こちらの写真↓↓↓
正解は「チューバ洗浄中!!」
入り口付近に流し台があり、その近辺に簀の子を敷きスタンドにチューバを乗せていざ洗浄!
ホースシャワーを巧みに操り洗浄していきます。
これがチューバ丸洗いの姿です☆
見る機会も少ないのではないでしょうか?
現在、主にチューバを担当しているK口さんは
「晴れてる日はいいんだけど、梅雨時期は困る。」
そう、なぜなら外でしか洗浄できないから。雨が降ってしまうと丸洗いはできません。
早く屋根を付けてくれることを切実に願っておりますm(_ _)m
ちなみに…お隣に写っている「たぬき」。深い意味はなく、ずっと前から置いてあるそうです(^^;
普段は木管チーム所属の千茨城県民しおがお送りしました〜☆
今年のゴールデンウィークはみなさんどこかへお出かけになりましたか?
今年は高速道路の料金の引き下げや燃油サーチャージが安くなったりして
さらに最長16連休!!なんて言われてたので
遠くへ出かけた人も多いのではないでしょうか?
さて、今回は工具をひとつご紹介します。
こちらです。
サイズの比較のためにトランペットのマウスピースと並べてみました。
まんなかのパーツがパイプ状になっていて両側にネジが切ってあり
両端のパーツもネジを切って入れてあります。
さらに片方は逆ネジになっているので
両端のパーツを固定してまんなかのパーツをまわすと
このように伸びます。
さてさて、一体ナニに使うのでしょうか?
実はこれは下の写真のようにトロンボーンのスライドを半田付けする時に
幅が変わらないように固定する時に使います。
トロンボーンのスライドは平行にしなければなりません。
もしこれが1mmでも違ったら動きに悪影響をおよぼす可能性があるのです。
1mmと聞くとそんなに大きくないというイメージの人もいるかも知れませんが
管楽器の修理において1mmの誤差は時にとても大きなものになるのです。
以上、”寝正月”ならぬ”寝ゴールデンウィーク”だった
金管担当中嶋でした☆
先日、わが社の前においてある自販機が変わりました!
なにやら見慣れないものが入っていたので買ってみました。
あ、おいしい。
チチヤスが飲みたい方はMIRSまでお越しください(笑)
前回の出番ではめだか先輩に
「ないようがないようだね」と言われてしまったので
今回はちゃんと楽器のことを書きます。。。
先日、トロンボーン吹きの友達がちらっと
「トロンボーンは神様の楽器」なんて言ってました。
トロンボーン吹きの人だったら
一度くらいそんな話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
これは昔、教会などで聖歌の伴奏に
トロンボーンが使われていたことに由来するのです。
クラシック音楽の中でもトロンボーンは神を象徴するものとして
扱われることがあるそうです。
では、なぜトロンボーンが教会で使われるようになったのか?
実は昔は現代ほど楽器製作の技術が発達していなく
ほとんどの楽器が音色のバラつきがあったり、音量がなかったり
何よりも音程がよくなかったのです。
そんな中、当時からスライドにより音程を微調整することができたトロンボーンは
数人で演奏することにより純正律の美しい和音を奏でることができました。
そしてその美しさには神が宿っていると信じられ
教会でカルテットで使われるようになり
その地位をオルガンに奪われるまでの間、活躍したそうです。
ちなみにその後、なぜトロンボーンからオルガンに
とってかわられてしまったのか。
トロンボーンカルテットで4人で伴奏をさせるよりも
オルガンで1人で伴奏をさせるほうが
奏者のギャラが安い!!というのが理由の一つだったそうです。
やはり今も昔もコスト削減を叫ばれているのは同じなのですね。。。
以上、定額給付金の申込書がやっと届いた
金管担当中嶋でした☆
まだ2月だというのに奴らが飛び始めました。
そうです、花粉です!!
花粉症の僕にとって暖かくなるのは嬉しいのですが
これがなかなか辛いんですよねぇ・・・
同感してくれる人も少なくないのではないでしょうか?
MIRSのベッカムとヨン様は
無事に復活しました!
先日、僕とホロ酔いシーサーくんとで
とある研修会に参加させていただき
色々な体験、見学、受講などさせていただきました。
全部はご紹介できないので講義の中で
個人的に意外だなぁと思ったお話しをひとつご紹介します。
ユーフォニアムやアルトホルンなどの
中音金管楽器(※)とトランペットは
どちらも一般的によくみられるのはピストンの楽器ですが
どちらもロータリーの楽器も存在するのです。
しかし、日本国内ではロータリートランペットは
たびたび目にすることがあるのに対して
ロータリーのユーフォニアムやアルトホルンは
ほとんど見かけませんよね。
ところがこれを世界規模で比べてみると
地球上に存在するトランペットのうち
ロータリートランペットはわずか1%なのだそうです。
そして地球上に存在する中音金管楽器(※)の約半分は
ロータリーの楽器なのだそうです。
ちなみにロータリーの中音金管楽器(※)は
ドイツやオーストリアなどのドイツ語圏の他
中国や朝鮮などのアジアでも使われているそうです。
世界は広いですねぇ~。
ところ変われば楽器も変わるのですね。
以上、バファリンの半分は優しさでできてるらしいけど
あとの半分は何でできているのか気になっている
金管担当中嶋でした☆
※今回はユーフォニアム、アルトホルン、バリトンなどをさし、
歴史的に違う発展をしてきたトロンボーン、フレンチホルンは除くと考えてください。
先日、仕事帰りに会社の近くの
イオン北戸田で買い物をしていると
「バレンタインデー」と書かれた看板と共に
たくさんならんでいたチョコレートを見て
もうそんな時期かぁと思いました。
今年は男性から女性にチョコレートを贈る
その名も”逆チョコ”なるものがあるらしいです!
ってことはホワイトデーに女性から男性に贈る
“逆キャンディ”とか”逆クッキー”とかもあるんでしょうか?
・・・ありますよね??
なかったらちょっとショックですね。
さて、管楽器の修理において
半田付けは必要不可欠な技術です。
その半田の線は最初はこのように巻かれています。
けっこう重たいです。
わが社ではこれを一人ひとつづつ持って
それぞれ使っていますが
僕が使っている半田が入社4年目にして
もうすぐで終わりそうになりました!
ちなみになぜ真ん中に
棒が刺さっているのかというと・・・
こうになってしまうからです。
以前、机から落とした時に破損しました。
その当時はまだいっぱい巻いてあったので
みなさんご想像のとおり、びろろ~んってなりました・・・
仕方ないので途中まで伸ばして巻きなおしましたが
これがまたけっこう大変で
“いつになったら使い切れるんだろう”と思いました。
その”いつになったら・・・”がもうすぐです!!
きっとこれを使い切ったら
とてつもない達成感が待っていることでしょう!
使い切ったあとも、またその達成感ををひそかな楽しみに
がんばって仕事をしていこうと思います!
以上、いろんな意味で早く春がきてほしい
金管担当中嶋でした☆
年が明けてもう10日程たち
そろそろ正月ボケもなおってきた今日この頃
みなさんいかがお過ごしでしょうか?
さて、私たちの”管楽器の修理”という仕事は非常に特殊な仕事であり
専用の工具が市販されていることはほとんどなく
市販されている工具を加工したり
工具屋さんに特注で作ってもらったりして使っています。
そして時には工具を自分で作ったりもします!
今回はその一部をご紹介します♪
今回作ったのはホルンやトロンボーン、チューバなどのロータリーを調整する時に
ロータリーの内部の”駒”と呼ばれるパーツを保持する道具です。
工具屋さんに行ってそんな工具をくださいと言っても
ほとんどの場合、”ありません”と即答されるでしょう。
主な材料は下の写真のとおりです。
左から真鍮材、デルリン材、洋白材×2です。
これらの材料を曲げたり
旋盤という機械で穴をあけたり、削ったり、切ったりすると・・・
こうなります!
上の写真と並べてある順番はおなじです。
小さくなったり、スリムになったり
テトリスで上から落ちてきそうな形になったりしていますね。
写真ではわかりずらいですが内側が空洞になって
ちくわ状になっているものもあります。
さらに真鍮材に横から穴を開けネジを切り、半田付けをして
デルリン材が抜けないように洋白材にネジをつけて
最後に真鍮材にネジをつけると・・・
はい、完成!
このように駒を保持します。
この他にも様々な工具があり、
中には一見”何に使うんだろう・・・”というものもあります。
今後、少しずつ紹介していきますのでお楽しみに!
以上、寒いのは苦手なので早く春がきてほしい
金管担当中嶋でした☆